第3回 ブログ版「農業講座」

季節はすっかり夏模様。

半袖で出歩く方も多くなりましたね。女性にとっての天敵、日焼けとの戦いも始まりました(笑)

畑仕事やガーデニングなど、土いじりをされる方は、水分補給もしっかりしながら体調に気をつけてくださいね。

さて、大好評のブログ版「農業講座」の第3弾が届きました !(^^)!

今回のテーマは「カメムシ」です。

講師はご存知、「まんのうの達人」豊嶋和人さんです。

 

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【雑食カメムシはおもしろい!】

みなさんはカメムシといえばなにを思い浮かべますか。クサい?集団でやってきてお米やミカンに悪さをする困ったやつ?それもカメムシには違いないんですけど、畑にも野山にも多種多様なカメムシがおるんですよ。ここでは、なにを食べているか(なんの汁を吸っているか)で分類してみましょう。

まずは畑でおなじみの草食のカメムシです。最近平野部でよくみかけるのはなんといってもミナミアオカメムシですね。大きくて匂いも強烈、イネ、ナス、オクラ、 トウモロコシ、最近ではブロッコリーなんかも吸っています。繁殖力も旺盛です。

ナスやピーマンの葉裏に宝石のような卵がきれいに並んでいるのを見たことがありますか?ホオズキカメムシの卵です。成虫は青りんごのようなわりといいにおいがします。ナスやピーマンの茎から汁を吸って、なんでそんないい匂いになるんでしょうねえ。

草食の次は肉食のカメムシです。代表的なのはサシガメです。写真は善通寺の某スーパーマーケットの駐車場でみつけたヨコヅナサシガメ、かっこいいでしょ。でも刺されると痛いんですよ。

クチブトカメムシの仲間はイモムシの体液を吸います。以前一度だけ、夏場遊ばせていたハウスにシロヘリクチブトカメムシが大発生したことがありました。

このままこのシロヘリクチブトカメムシにおってもらえたらイモムシ退治は任せられるじゃないか…と思ったら、餌のハスモンヨトウ、シロオビノメイガ幼虫を食べ尽くしたところでみんなどっかに飛んでいってしまいました。残念!

こういった益虫カメムシがずっと一緒におってくれたらな~。そこで登場するのが雑食のカメムシたちです。彼らは餌の昆虫を食べ尽くしても、植物の汁液や花粉を用意しておけば畑にとどまって、餌となる昆虫の発生するのを待ってくれます。(下の写真右側)

中央はヒラタアブです。

春や秋によく見かけるのがヒメハナカメムシの仲間です。アザミウマなどの小さな昆虫やイモムシの卵を主に食べますが、餌となる虫がいなければその名前のとおり花の花粉も食べます。花壇や寄せ植えでおなじみのアリッサムや、バジル、ソバなどの花を好むと言われますが、クローバーでもよくみかけます。

面白いところでは、オクラの葉裏や茎についているキラキラとした「水晶体」も食べます。ただし、普通の五角オクラよりも丸オクラの水晶体を好むようです。アザミウマの食害を受けやすいナスやピーマンのそばに丸オクラを播いておくと2度も3度も美味しいですね。

スイートコーンの花粉もヒメハナカメムシを集めます。ここで一石三鳥の裏技を披露してしまいましょう。受粉が終わったスイートコーンの一番上の雄穂をハサミで摘むとスイートコーン最大の敵アワノメイガの被害を軽減できるというのは家庭菜園の本にもよく書いてある技術ですが、同時に風による倒伏も防ぎます。このとき、一番上の葉ごと摘むのがポイントです。その葉の裏がアワノメイガの産卵場所というのが理由です。ここからが面白いところなんですが、摘んだ部分の葉と茎の間の狭い空間にたまった花粉を求めてヒメハナカメムシがいることがあります。他にも、同じく花粉をもとめてやってきた、ハダニの天敵カブリダニ、さらに、アブラムシの天敵テントウムシやヒラタアブもみかけたことがあります。まさに天敵昆虫の福袋や~。餌のアブラムシがいることもありますが、前回紹介しましたイネ科だけにつくアブラムシですので問題ありません。アワノメイガも野菜にはつかないので大丈夫です。なので摘んだ穂は捨てないで、うちではピーマンやオクラ、トマト、キクの畑にばらまきます。

さて、梅雨が開けて本格的に夏になると、暑さに弱いヒメハナカメムシは秋までお休みです。その時期から活躍するのがタバコカスミカメという雑食のカメムシです。

 ゴマの葉にいるタバコカスミカメ

コナジラミやアザミウマといった果菜類の大敵をモリモリと食べます。農薬の効かないコナジラミに困っていた高知で農家が発見したタバコカスミカメの利用技術は、この10年ほどの間に西日本中に広がりました。

タバコカスミカメを集める植物はゴマ、クレオメ、バーベナです。実際に試したところではこの順番でたくさん集めるような感触があります。ただし、タバコカスミカメは大好きな虫がいないときに作物の茎葉の汁を吸ってしまうことがあります。致命的な被害となることはないのですが、タバコカスミカメが増えすぎるとトマトやキクなどでは注意が必要です。

今年の2月に亡くなった日本の応用昆虫学の第一人者桐谷圭治先生は、害虫、益虫に加えて「ただの虫」の重要性を提唱し、日本の減農薬技術開発に道筋をつけました。タバコカスミカメは、ゴマに集まった時点ではただの虫ですが、害虫を食べる益虫にもなれば、害虫との勢力バランス次第で害虫にもなる、畑の生態系の面白さを教えてくれる虫ですね。先月、岩波ジュニア新書から『博士の愛したジミな昆虫』という本が出ました。生態系の中の虫たちを研究している桐谷先生を含む10人のハカセたちの研究成果が分かりやすく説明されています。家庭菜園や畑にももちろん役に立ちます。興味のある方は手にとってみてください。

では最後に、図書館の蔵書から畑の虫にまつわるおすすめの本を2冊紹介します。

『虫といっしょに家庭菜園』 小川幸夫 著 家の光協会 (6138オ)

千葉県の農家の方が書いた本ですが、家庭菜園の教科書と見せかけて、野菜そっちのけでひたすら虫のことしか書いていません。痛快過ぎて読みながら大笑いしてしまいました。

『天敵利用の基礎と実際』 根本久、和田哲夫 編著 農山漁村文化協会 (6158ネ)

この10年ほどのあいだに格段の進歩を遂げた天敵利用技術をまとめた技術書です。2000年代前半に書かれた類書と比べると、その実用性の高さに驚かされます。どんな植物が益虫を集めるか、細かく書かれています。

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虫も、「敵」として戦うばかりではなく「味方」につけると、ちょっと可愛く思えてきたりもするのでしょうね。

豊嶋さん、ありがとうございました。

 

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