第5回 ブログ版 農業講座「キャベツ・ブロッコリーとレタスは同じ肥料で育ててええんやろうか? 前編」

例年にない長梅雨のあとは、世界中を干上がらせてしまうほどの猛暑…。

農業に従事していらっしゃる方たちだけでなく、趣味で園芸や家庭菜園を楽しまれている方たちも、ご苦労の多い夏となっていることと思います。

そんな皆さんにとって、今回もいいヒントになるようなお話が聞けそうですよ。

講師はお馴染み、農業の達人・豊嶋和人さんです (^_-)-☆

【キャベツ・ブロッコリーとレタスは同じ肥料で育ててええんやろうか? 前編】

 

長い梅雨が明けたら今度は連日の猛暑で人も野菜も大変ですね。うちはお天気はともかく、カメムシが多くて参りました。

そろそろ秋冬野菜の土づくりや施肥も考えていきたい時期ですね、前回(注1)は土づくりのはじめの一歩、石灰による酸度矯正のお話をものすごく脱線しながらしました。では続いて堆肥や肥料の話をしましょう。

(注1)第4回ブログ版 農業講座 参照

その前に「堆肥」と「肥料」の違いってなんでしょうね。この区別を説明するのはややこしくて、わかりやすく説明する自信がありません。さらに、法改正で来年あたりから「堆肥を混合した肥料」が出回りはじめる見込みです。なおさらややこしい。なんとなく堆肥には土のコンディションを整える資材(土づくり資材)、肥料には作物に養分を供給する資材、というイメージがあると思います。その例外が結構多いのでややこしいんですよね。では、よく使われる資材そのものの性質をクローズアップして見てみましょう。参考にするのは肥料袋に表示してある「生産資材保証票」です。これは肥料や堆肥の品質を確保するために法律で表示が義務付けられています。加工食品の食品表示と同じようなものですね。

一般に堆肥と呼ばれるものの中で代表的な2つを見てみましょう。まずは牛ふん堆肥です。(写真①)

(写真① 牛ふん堆肥  本人撮影)

 

いろいろだいじなことが書いてありますが、ここでは土の中でこの堆肥がどういう働きをするかに絞って説明してみたいと思います。そこで注目すべきは原料と窒素全量と炭素窒素比(C/N比)です。

原料は牛ふん、木くずとあります。木くずはおがくずと表記してあることも多いですね。牛のふんと木くずを混ぜて発酵させたものだとわかります。

窒素全量は0.8%です。1袋が16kgですから148gの窒素分が含まれていることになります。牛ふん堆肥は鶏ふん堆肥や豚ぷん堆肥よりも一般的に窒素分が少ないです。関連して炭素窒素比を見てみますと「23」とあります。これは炭素量を窒素量で割った値ですから、炭素が窒素の23倍含まれていることになります。牛ふん堆肥の炭素窒素比は10~20前後と言われています。これは多いほうですね。きっと木くずの割合を増やしているのだと思います。

 

次は鶏ふん堆肥です。(写真②)

(写真② 鶏ふん堆肥  本人撮影)

 

窒素全量が多いですね。3.87%もあります。鶏ふんの窒素が多い原因のひとつとして鳥なのでおしっことうんちが一緒に出てくることがあげられます。鶏ふんはふんを名乗りながらも、その窒素分の多くは尿に含まれる尿酸です(ちなみにわたしがこの春病院で計った尿酸値は8でした)。そして窒素が多いぶん、炭素窒素比も6.6と低いですね。

さきほど、「注目すべきは原料と窒素全量と炭素窒素比(C/N比)」と書きましたが、その中でも大事なのはあまり聞き慣れない炭素窒素比です。なんのためにこれをわざわざ計算して表示してあるかといいますと、有機物の分解のしやすさ/しにくさを示す重要な指標だからです。低い(窒素が多い)と有機物を分解する微生物がよくはたらいて、窒素と炭素が切り離され、肥料分となる窒素が出てきます。逆に高い(窒素が少ない)と分解されにくく、そのままの姿で土の中にいます。堆肥はよく土をフカフカにしてくれると言われますが、それはなるべくそのままの姿でいてくれてこその効果なので、炭素窒素比が低くすぐ分解される堆肥は肥料っぽい堆肥、炭素窒素比が高い堆肥は土づくりに役立つ堆肥となります。

前回(注2)、「イネ科植物のかたくて腐らない茎葉」が様々に利用されてきたことを書きましたけど、それはイネ科植物の茎葉のCN比が高いからなんですね。例えば麦わらの炭素窒素比は100以上あります。

(注2)第4回ブログ版 農業講座 参照

ただ、土のなかにそんなにCN比の高い有機物を混ぜておくとどうなるかというと、温度や水分など他の条件がそろっていれば、肥料や土のなかに残っている他の窒素分を使って微生物がその有機物を分解しようとします。植物が利用したい窒素まで微生物が先に利用してしまうので、植物は十分に葉を広げることができず困ってしまいますね。これを「窒素飢餓」といいます。

窒素の供給はおおむね肥料に任せて土のコンディションづくりに専念し、かといって、土中の窒素を微生物に奪われることもない堆肥が、いわゆる堆肥らしいよい堆肥といえそうです。その目安となる炭素窒素比が20前後です。さきほどの牛ふん堆肥は23でした。堆肥を選ぶ際には袋の表示のうちまず炭素窒素比をよく確認してください。

では炭素窒素比6.6の鶏ふん堆肥はどうなのでしょう。堆肥というより窒素の供給源、すなわち肥料のイメージで見たほうがよさそうです。園芸や家庭菜園の本に書いてある堆肥の投入量 (よく10aあたり2トンとか1平方メートルあたり2~3kgと書いてます) は、鶏ふんのような炭素窒素比の低い堆肥ではなく、牛ふんおがくず堆肥のような炭素窒素比20前後に調整された堆肥を想定しています。鶏ふんをそれくらいたくさん入れてしまうと野菜が軟弱に育ってしまい、病害虫が心配になります。

それでは鶏ふんを堆肥として扱うのは適当ではないかというと、他の炭素窒素比の高い有機物と土のなかで混ぜて炭素窒素比を上げてやれば、土のコンディション作りに役に立ちます。まんのう町でもブロッコリー屋さんやにんにく屋さんが夏に緑肥としてソルゴーを播いています。ソルゴーの炭素窒素比は40~50くらいですから、粉砕して200~500kgの鶏ふんと土の中で混ぜてやると、ちょうどよいCN比となります。

というわけで、今日はソルゴー跡に鶏ふん堆肥を散布しながらトラクターで混ぜ込みました。(写真③) この畑はキャベツ、カリフラワー、ハクサイなどのアブラナ科野菜を中心に植える予定にしています。ようやく野菜の品目名が出てきましたが、例によって長くなりましたので肥料のお話は後編に続きます。

(写真③ トラクターで堆肥を混ぜ込んだ畑 本人撮影)

ブログ担当のワタクシは、毎年夏になると、鉢植えのミニトマトを栽培し、ささやかな園芸気分を味わっているのですが、水やり以外には何もしない「放置栽培」(笑)なので、皮が硬くなったり、あまり大きくならなかったり、年によって出来にムラがあります。

お野菜も生きもの。

土づくりから肥料まで、ひと手間かけて育てることが大事なんですね。

豊嶋さん、今回もありがとうございました。

園芸や家庭菜園をお楽しみの皆さま、こまめな水分補給と休憩で熱中症などにお気をつけください。

では、また次回もお楽しみに。

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